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16 突然の告白

Author: 栗栖蛍
last update Huling Na-update: 2025-05-28 08:07:44

「ねぇ、芙美ちゃん。俺と付き合わない?」

 その言葉があまりにも突然で、芙美は「えっ」と口を開いたまま暫く動くことができなかった。何か言おうと出しかけた言葉が、音になる前にどこかへ消えてしまう。

「びっくりした?」

 爽やかな笑顔で聞いてくる智に、芙美は無言で何度も頷いて見せる。

 びっくりした――そう、それが今の心境だ。

「昨日会ったばかりで告白するなんて、コイツ何言ってるんだろうって思うだろうけど。俺、最初見た時から芙美ちゃんのこと気になってたんだ。こういうのって、好きっていうんじゃないかな」

「どうなの……かな」

 はにかんだ智に、芙美は何と答えて良いか分からなかった。昨日蓮に言われた言葉が、再び蘇ってくる。

 ――「家まで送ってくれようとするなんて、向こうは好きってことなんじゃないの?」

 そんなこと、あるわけないだろうと思っていたのに。

 まっすぐな智の視線を逃れて必死に答えを探すが、思いをはっきりと纏めることができない。そんな芙美の様子に、智は「ごめんね」と謝った。

「一目惚れってのもちょっと違うんだけど。一応、俺の気持ちだって受け止めといて欲しい」

「……うん」

 うまい返事ができず、申し訳ない気持ちのまま芙美は頷く。

「それとも芙美ちゃん、湊のことが好きだった?」

「湊くん……?」

 その音にゴクリと息をのんで、芙美はふるふると横に首を振った。湊への気持ちさえ、自分でも良く分からない。

「ごめんなさい。そういうの、ちゃんと考えたことなかったから……」

 思いのままに伝えると、智は「気にしないで」と優しく微笑む。

「だったら今は、友達として側に居させて欲しい。ダメでもいいから、気持ちが変わったら教えて」

「うん、ありがとう。智くん……」

 ふいに衝動が起きて、目の前が潤んだ。どうしてかは分からないけれど、泣いちゃ駄目だと涙を堪える。

「芙美ちゃん?」

 智が慌ててテーブル越しに手を伸ばす。芙美の髪に彼の指先が触れるその手前で、ガタリと廊下で音が鳴った。

「ひえっ」

 女性の声に驚いて、二人が顔を見合わせる。そろりと同時に振り向くと、10センチほど開いた扉の隙間に、白衣姿の彼女が立っていた。

「一華(いちか)先生!」

「ご、ごめんなさい。入るタイミングが掴めなくて……」

 熊柄のマグカップを片手にもう片方の手で「ごめん」のポーズを作る彼女は、養護教諭の
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